磁石の歴史について

磁石TOP磁石のひみつ

磁石はみんなが生まれる前から、沢山の人に使われてきました。
磁石はどうやって発見され、使われてきたのでしょうか。
みんなの身近にある磁石。

今では簡単に手に入るが磁石だけど、
そもそも磁石はいつごろ発見されたのだろう?

みんなは気になりませんか?
これから一緒に磁石の歴史を学ぼう!!

磁石は今から5000年以上も前に発見されていた!?

磁石の発見と誕生は諸説あります。

一説では、その磁石が誕生したのが紀元前3000年頃。
ギリシャのマグネシア地方の岩石の中から、鉄を引き寄せる石が発見されました。
この岩石は、天然に磁化された磁鉄鉱と呼ばれるも天然磁石で、
人が最初に出会った磁性体といわれています。

また磁石のもう一説として、紀元前の中国で発見されたとも言われています。

磁石の名前の由来

英語の「マグネット」という名前は、最初に磁鉄鉱が発見された
「マグネシア」という地名から由来していると言われています。

漢字の「磁石」という名前は、昔の中国の慈州が磁鉄鉱の産地で、
磁鉄鉱を「慈石」と呼ばれていました。
それが日本語の「磁石」の由来と言われています。
最初の磁石が発見されてから時代が変わり、15世紀。
磁石を研究して、調べてみようとしたのが、
イギリスのウィリアム・ギルバートさんです。

ギルバートさんが磁石研究の中で見つけた最大の発見が
地磁気」についてです。

この地磁気を発見したのには、船乗りたちの話で、
「船が北に近づくにつれ、方位磁針の針が下を向くんだよ。」
という話から、大きなヒントを見つけて、
実際に子供の頭ぐらいある磁鉄鉱を丸くして、
地球の形の磁石を作って実験したといいます。

この地磁気の大発見から
「地球そのものが大きな磁石」ということが分ったのです。

この地磁気の発見から方位磁針が北を指す不思議が解き明かされました。

ギルバートさんはこの他にも実験を続けて、
「鉄が磁石によって磁化され、熱せられると磁力が失われる」ことを発見しました。

世界一の強力磁石は日本生まれ

さらに時代が進み、20世紀になると、
少しでも長い時間、磁石として力を保つ永久磁石が必要とされてきました。

1917年(大正6年)、はじめて人工的に新合金から永久磁石を開発して
世界を驚かせたのが、なんと実は日本人だったんです。

日本の本多光太郎さんの開発したKS鋼という、
これまでの強力磁石の3倍もの磁力を持っている
世界最強の永久磁石鋼です。

その後、さらに永久磁石の開発が進み、
1984年に日本の日本の住友特殊金属(現、日立金属)の
佐川眞人さんたちによって発明された「ネオジム磁石」が
開発から現在まで世界最強の永久磁石として広く利用される事になりました。

みんなの身近にあり、世界中で使われている強力磁石、
世界最強の永久磁石「ネオジム磁石」が日本で生まれていたなんてビックリですね。

今も磁石の研究は進んでいて、日本も磁石の研究・開発に力をいれて
新しい磁石を生み出そうと頑張っています。
世界最強のネオジム磁石は、ボクと同じ日本人が開発したなんて、スゴいね!
ネオジム磁石は小さくても、とても強い磁力をもっているから、
世界中の多くのものに使われているんだよ。

新しい磁石の開発はどんどん進み、
僕たちの生活をより一層、便利にしてくれるんだろうなぁ。楽しみだな!!

世界を変える永久磁石の力

磁石の研究が進み、磁石の可能性がどんどん大きくなっていっています。

超伝導磁石の発見から「リニアモーターカー」が発明され、
より強力な永久磁石を使ったモーターでよりエコな「ハイブリッドカー」の発明が進められています。

近年では、希土類元素の輸出が問題になっていて、永久磁石のほとんどが希土類元素から作られている事から、
希土類元素を使わない強力な永久磁石の研究が進められ、実用化を目指しています。

これからの時代には宇宙開発にも磁石は多いに役立ち、私たちの未来をその磁力で引き寄せてくれています。

永久磁石と磁気科学の歴史

【大昔の永久磁石】

紀元前600年 天然の磁鉄鉱・マグネット(ギリシア)
紀元前240年~20年 慈石と司南および羅針盤(中国)
220年~400年 指南車についての諸説と指南魚(中国)
700年~800年 日本の磁鉄鉱発見(日本)
1100年~1600年 羅針盤の進化と大航海時代(欧州)

【電気磁気学、磁石理論の発展】

1600年 ギルバートの磁石論(イギリス)、精錬した鉄を磁石に使用
1660年~1775年 ゲーリック摩擦起電機の発明(ドイツ)
フランクリンの電気のプラス、マイナスの発見(アメリカ)
平賀源内の磁針器とエレキテル(日本)
1750年 ジョン・ミッチェルの「人工磁石についての論文」
1760年 キャンベンディシュの「逆二乗則」
1777年~1787年 クーロンの法則(フランス)
1780年 ガルバーニの論文「動物電気」(イタリア)
1791年~1794年 ボルタ電堆・ボルタ電池と動電気(イタリア)
1799年~1833年 フンボルトによる地磁気の変化の発見、ガウス、ウェーバーによる地磁気の精密計測
1820年 エルステッドの論文「電流の磁気作用」(デンマーク)
アンペールの法則、右ネジの法則、ビオ・サバールの法則(フランス)
1831年~1834年 ファラデーの「電磁誘導の法則」(イギリス)
ヘンリーの「自己誘導作用」(アメリカ)
レンツの「レンツの法則」(ドイツ)
1836年 ダニエル電池の発明

【電磁気学の集大成から応用・実用化へ】

1824年 「アラゴの円板」の発見(フランス)
1832年 ピクシーが手回し発電機を発明(フランス)
1864年 マクスウェルの「電磁方程式」(スコットランド)
1866年 ジーメンスが「自励式自動直流発電機」を発明(ドイツ)
1870年 グラムが「環状電機子を備えた発電機」を発明(ベルギー)
1882年 ゴードンが「2相交流発電機」を発明(イギリス)
1885年 「フレミングの法則」を発表(イギリス)

【真空技術の進歩と原子物理学の誕生・磁性の探求】

1808年 デービーが「アーク放電」の実験を行う(イギリス)
1850年 ファラデーが「反磁性体」を発見(イギリス)
1857年 ガイスラーとブリュッカーが「水銀空気真空ポンプ」を発明(ドイツ)
1878年~1879年 スワン(イギリス)、エジソン(アメリカ)が「白熱電球」を発明
1887年 クルックスが「クルックス管」を製作、陰極線を予測(イギリス)
1890年 日本でも白熱電球の生産を開始
1895年 キュリー、ワイスによる「キュリー・ワイスの法則」確立(フランス)
1899年 トムソンが陰極線は負の電荷を持った粒子(電子)であることを解明(イギリス)
1903年 トムソンの「原子模型」(イギリス)
1903年 長岡半太郎が「土星型原子模型」を発表(日本)
1905年 ランジュバンによる「常磁性理論」「ミニ磁石・分子磁石」(フランス)
1907年 ワイスの「分子磁界」の理論(フランス)
1911年 ラザフォードの「有核原子模型」(イギリス)
1913年 ボーアの「電子軌道原子模型」(デンマーク)
1916年 アインシュタイン、ハースが「磁気回転効果」を発見(ドイツ)
1925年 ウーレンベック、ハウトスミットが「スピン磁気モーメント」理論を発表(アメリカ)
1925年 電子の配置「パウリの排他律」(オーストリア)
1925年 電子のスピン配置「フントの法則」(ドイツ)
1928年 ハイゼンベルクによる「交換相互作用」(ドイツ)

【新磁性材料の発明・発見と近代永久磁石の発展】

1917年~2007年 近代永久磁石の登場と進化(まとめ年表)
1917年 本多光太郎博士による「KS鋼」の発明(日本)
1919年 「バルクハウゼン効果」の発見(ドイツ)
1930年 ビッター法による「磁区構造と磁区の原理」解明
1930年 加藤、武井両博士による世界初の「フェライト磁石・OP磁石」(日本)
1932年 三島徳七博士による「MK鋼」の発明(日本)
1934年 本多光太郎博士による「NKS鋼」の発明(日本)
1936年 「白金コバルト(Pt-Co)磁石」の開発(ドイツ)
1938年 アルニコ磁石の開発(アメリカ)
1952年 「バリウムフェライト磁石」の開発(オランダ)
1960年 「マンガン・アルミ(Mn-Al)磁石」の発明(オランダ)
1961年 「ストロンチウムフェライト磁石」の開発(アメリカ)
1966年 「サマリウム・コバルト(SmCo5)粉末磁石」の開発(アメリカ)
1969年 「サマリウム・コバルト(SmCo5)焼結磁石」の開発(アメリカ)
1970年 「マンガン・アルミ・カーボン(Mn-Al-C)磁石」の発明・工業化(日本)
1971年 金子博士による「鉄・クロム・コバルト(Fe-Cr-Co)磁石」の発明(日本)
1972年~1974年 「サマリウム・コバルト(SmCo5)焼結磁石、ボンド磁石」の工業化(日本)
1976年 「サマリウム・コバルト(Sm2Co17系)焼結磁石の実用化(日本)
1983年 「高速急冷法によるネオジム(Nd-Fe-B)磁石」の発明(アメリカ)
1983年 「ネオジム(Nd-Fe-B)焼結磁石」の発明(日本)
2007年~ ネオジム磁石の生産量推移
2007年~ 希土類-遷移金属化合物の磁気特性、ネオジム磁石の製造方法
2007年~ ネオジム磁石の最新用途例
2007年~ ネオジム磁石のこれからの課題

【超伝導永久磁石の可能性】

1911年 オネスが水銀の超伝導現象「電気抵抗ゼロ」を発見(オランダ)
1933年 マイスナーによる「マイスナー効果」の発見(ドイツ)
1935年 ロンドン兄弟が「ロンドン方程式」を発表(イギリス)
1961年 クンツラーによる「第二種超伝導体・Nb3Sn」の発見(アメリカ)
1962年 「ジョセフソン効果」の理論発表(イギリス)
1986年 「酸化物高温超伝導体」の発見(スイス)と永久磁石への可能性

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